③ニンフフライ
ニンフを辞書で引くとギリシャ神話に登場する森や泉の妖精とあります。フライフィッシングでは水生昆虫の幼生のことをニンフと言い、幼生を模したフライを総称してニンフフライと言います。
ニンフフライを使った釣り(ニンフフィッシングとも言う)はフライフィッシングの中では比較的新しい釣り方で、伝統的なウェットフライと区別しにくい点があります。ウェットフライとの相違点はフライの形がウェットフライよりも地味で、いかにも「虫」に似せたというものが多く、釣り方はウェットフライよりも水生昆虫の幼生を意識したものになります。
最近は鮭科の卵に似せたエッグフライや、食性よりも興味の対象のような派手なフライを使っても、フライを沈める釣り方を一様にニンフフィッシングと呼ぶ場合があるようですが、ここでは言葉通り水生昆虫の幼生を模したものとして説明します。
ニンフフライはどんなフライ
ニンフフライは水生昆虫の幼生(ニンフ)に似せたフライで、水中を流される状態を真似て使います。
水中を流れるニンフは水面上を漂う虫よりも圧倒的に数が多いので、安全なうえ少ないエネルギーでたくさん食べられる水中の餌に頼る魚はたくさんいます。養沢でも水生昆虫のハッチが少ない3月上旬から、ハッチが一段落する8月、ドライフライへの反応が鈍い10月でもニンフはたくさん食べられています。
水中のニンフはどちらかというとヤマメよりもニジマスの捕食率が高く、放流して間もない魚ほどこの傾向は強いようです。
また水中を流れるニンフの種類は多いので、魚は水面の餌のように偏食になりにくく、大きさや形が違う虫でも選り好みせずに食べています。場合によっては虫に似た木の枝や木の葉まで食べていることがあります。
養沢のような管理釣り場では、自然の状態ではありえない密度の魚が放流されているので、慢性的な餌不足が流れてくる餌を選り好みしにくい状況を作り出しているのかもしれません。
ニンフフライは大雑把でも魚が釣れてしまうので面白くない、という方がいらっしゃいますが、ニンフフライでもごく狭い範囲で起こる状況に対応させる方法はあります。例えば養沢にたくさん生息するモンカゲロウを例にしてみます。(下・下段の写真)
一番左の写真が幼生期、つまりニンフの状態でです。普段は水底の砂に潜って生活していますが、5月頃になると水面に泳ぎあがり脱皮して亜成虫(ダン)に、もう一度脱皮して成虫(スピナー)になります。
このモンカゲロウのライフサイクルに合わせると、砂の中に潜ってるニンフは餌になりにくくても、ハッチ(羽化)のために泳ぎ上がる一瞬はもっとも魚が食べやすい状態ということになります。(養沢では5月上~中旬頃、ストマック情報2006年5月参照
)
この状況を予測して、モンカゲロウのニンフフライを使って浮上する状況を真似れば、自然のサイクルに合わせたニンフフィッシングということになります。
ニンフの形態として代表的なものが下・上段の写真のようなカゲロウ類、カワゲラ類、トビケラ類などで、これらに似せたニンフフライは数え切れないほどのパターンがあります。
リアルなイミテーションのものをイミテーションニンフ、特定のものに似せていないものをファンシーニンフと言ったり、水生昆虫のある特定の状況を似せたものはイマージャーとかフローティングニンフなどとも呼ばれます。(イマージャーは羽化途中の過程、フローティングニンフは羽化のために水面に浮上したニンフのこと)
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ニンフフライを使った釣り方
フライフィッシングはフライと釣り方の組み合わせなので、人それぞれいろいろなやり方があります。
ここでは最も一般的な方法を紹介します。
●フライを沈ませる
まずどうやってフライを沈めるか考えます
①フライの自重に頼る(表層を流す場合)
②フライにオモリを巻き込んだウェイテッドニンフを使用する
③ティペットに小さなオモリをつける
④2、3を併用する
※ただし、フライを重くすればするほどキャスティングはしにくくなり、ライントラブルの原因になります。
①フライの自重に頼る場合はボディの表面積を小さくして、ヘビーワイヤーのフックを使います。表層を流すとき使いやすいです。 | ②フライを作るとき、フックに糸状のオモリ(レッドワイヤー)を下巻きしてフライの重さを増します。 | フライから10cm~20cmほど離したところに
小さな噛み潰しオモリ(スプリットショット)をつけてオモリの重さでフライを沈めます。 |
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●どうやって使う
水中に沈めたニンフフライは目で確認することができないので、魚がフライを咥えた瞬間(アタリと言う)が分かりくく、魚が違和感を覚えてフライ吐き出す前にフッキング(魚の口にハリを掛ける動作)をするのは難しいとされています。
魚がフライを咥えた瞬間を知るために考えられた方法がいくつかあり、その代表的なものが以下の二つです。
①フライラインとリーダーをなるべく直線にして、リーダーの動き(目印をつける場合もある)や手に直接伝わる感触で魚が銜えたことを感知します。このやり方をアウトリガーフィッシングといいます。
②浮力のある目印(インジケーター)をつけて、その動きで魚が銜えたことを知る、いわば浮き釣りです。このやり方はルースニングとかインジケーターフィッシングなどと呼ばれます。
最近は釣り方にingをつけるのが流行っていて(バッシングとかエギングなど)、ニンフフライをつけた釣りをニンフィングと言ったりします。人と話すときはこのような共通語が必要ですが、自分の中でイメージするだけなら「フライの脈釣り(餌釣りの釣り方)」とか「浮き釣り」でかまいません。

●それぞれの利点と欠点
①アウトリガーはリーダーの弛みがないので魚のアタリ(フライを咥えた感触)が伝わりやすく、フッキング(魚の口にハリを掛ける)しやすい釣り方と言える反面、フライラインとリーダーを直線的にしなくてはいけないのでロッドの長さより遠いポイントは釣りにくいこと、重いフライを近距離(フライラインがロッドのトップガイドからあまり出ていない状態)ではキャスティングが特に難しいことなど欠点もあります。
遠くにキャストしてラインが弛んでいる状態でアタリを取るのはかなりの熟練を要するので、そういう意味ではフライフィッシングのメリットが生かしにくい釣り方と言えるかもしれません。
②ルースニングはインジケーターが浮きの役目をするので魚のアタリがとりやすく、緩い流れや止水では初めての人でもフッキングすることができるほどです。しかし流れがある場所ではインジケーターから下の様子が想像しにくいため、思ったとおりのところを流すにはかなりの慣れが必要です。また重いフライと大きなインジケーターはキャスティングがしにくくライントラブルの原因になります。
2007年まで開催していたフライフィッシング・スクールでは基本的にドライフライを使ったため、インジケーターをつけた釣りはよほどのことがない限りしませんでした。理由はインジケーターをつけることでラインコントロールがしにくくなり自分を釣ってしなうなどの危険が増すことと、情報のすべてをインジケーターに頼る癖がついてしまうことです。
川では刻々と変化が起きています。魚のライズ、水生昆虫のハッチ、水温の変化による魚の動きなど、川や魚から学ぶことがたくさんあるのにインジケーターだけを見つめていたのでは、せっかく自然と深くかかわれるフライフィッシングをやっているのにもったいないというわけです。
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ニンフフライの種類
水中に沈めて使うフライの中には魚が普段食べているものに似ても似つかない派手な色彩のものや、餌釣りで使われるイクラやブドウ虫などに似せたものなど、水生昆虫の幼生とはかけ離れたものもたくさんあります。
最近はこのようなものも含めてニンフという場合もあるようですが、どうせフライフィッシングをやるならスマートにかっこ良く・・というわけで、ここでは水生昆虫を意識したと思われるパターンを紹介します。

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