一部写真はクリックすると拡大します。

フライライン

フライフィッシング専用の糸であるフライラインは、一般的な釣り糸よりも太く、柔らかいプラスチックでできています。フライフィッシングはこのフライラインの重さを利用して軽いフライを目的のところまで運びます。他の釣りでは見られない方法なので、このフライラインがもっともフライフィッシング的な道具と言えるかもしれません。
フライラインは日本に伝わった頃はシルク(絹)の編み糸が使われていましたが、最近はタックル類の発達とともに高性能なものが次々登場して、日本で発売されているものだけでも数百種類にも及びます。(シルクラインは現在も販売されています)
ここでは一般的な渓流や湖で使用するフライラインとはどんなものか、また養沢で使うにはどんなものを選択したらよいかなどを説明します。
(競技用やスペイキャスティング用ラインなど、特殊な形状・重さのものは別にします)

番手(重さ)

フライラインは、かつてAFTMA(American Fishing Tackle Manufacturers Association)規格という世界共通の規格によりフライラインの先端9mの重さで番手が決められていましたが、現在は、AFFTA(American Fly Fishing Trade Association)というアメリカの釣具業界で作られた規格に変わっています。
(但し、ダブルハンド用のラインは番手と重さの基準がうので注意してください)

フライラインは、#1から#15くらいまであります。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━━━━━━┓
┃   対象にする釣り場        │ ライン番手の目安  ┃
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┿━━━━━━━━━━━┫
┃ 養沢程度の小さな渓流        │ #3~#4     ┃
┠───────────────────┼───────────┨
┃ 中規模の渓流や池の管理釣り場    │ #4~#6     ┃
┠───────────────────┼───────────┨
┃ 大きな河川や湖           │ #5~#8     ┃
┠───────────────────┼───────────┨
┃ 川の大物(鮭やサクラマスなど)や海 │ #8以上      ┃
┠───────────────────┼───────────┨
┃ 海の大物              │ #10以上     ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┷━━━━━━━━━━━┛




┏━━━━━┯━━━━━━━━━━━━━━━┓
ライン番手│ フライライン先端9mの重さ 
┣━━━━━┿━━━━━━━━━━━━━━━┫
 #2  │  80グレイン(約5.2g) ┃
┠─────┼───────────────┨
 #3  │ 100グレイン(約6.5g) ┃
┠─────┼───────────────┨
┃ #4  │ 120グレイン(約7.8g) ┃
┠─────┼───────────────┨
┃ #5  │ 140グレイン(約9.1g) ┃
┠─────┼───────────────┨
┃ #6  │ 160グレイン(約10.4g)
┠─────┼───────────────┨
┃ #7  │ 185グレイン(約12.0g)
┠─────┼───────────────┨
┃ #8  │ 210グレイン(約13.6g)
┠─────┼───────────────┨
┃ #9  │ 240グレイン(約15.6g)
┗━━━━━┷━━━━━━━━━━━━━━━┛

形状

フライラインは先端に向かって細くなっています。これをテーパーと呼び、ロッドから伝えられたパワーを緩和してラインのスピードを落とす役割があります。フライキャスティングがどんなものか理解できるとこのテーパーの意味が分かってきますが、フライフィッシングの入門書の中にはテーパーがパワーを効率良く伝えるという誤った表現をしているものも少なくありません。
フライラインの形状は大雑把に分けて次のように分かれます。

これらの形状の違いにより、それぞれ特性があります。

①DT(ダブルテーパー)
両端にテーパー部があるので傷んだらひっくり返して使える経済的なラインです。渓流で最も一般的に使用されるフライラインで、中央部(ベリー部)の太さが同じなので#3~#4など低い番手のライン(ライトライン)は操作性が良いという特徴があります。

②WF(ウェイトフォワード)

後部がテーパーのない細いライン(ランニングライン)になっているので遠投に有利とされます。#3や#4などのライトラインでは後部が細くなりすぎて扱いにくいという欠点もあり、#5以上で使う人が多いようです。

③ST(シューティングヘッド)
全長が9mの短いラインです。後部に④のレベルラインや専用のランニングラインを繋いで使います。先端部が短いのでバックのスペースが取りにくい湖などで使う人が多いようです。市販されているのは#6以上です。

④L(レベルライン)

これだけで使うことはほとんどありません。③のシューティングヘッドと組み合わせたり、DTやWFをカットしてこれを繋ぐこともあります。

種類

フライラインには番手と形状のほかに、水面に浮くタイプと水中に沈むタイプがあります。
水面に浮くものをフローティングライン、全体が沈むものをシンキンググライン、先端だけ沈むものをシンクティップラインと言います。
シンキングラインには沈む速さによってインターミディエイト(INT)、タイプⅠ(スローシンキングとも言います)、タイプⅡ(ファストシンキング)、タイプⅢ(エクストラファースシンキング)、タイプⅣ、タイプⅤなどの多くの種類があり、湖や海などで魚が表層にいないときに威力を発揮します。(養沢で使用することはないと思うので、詳しい沈下速度や沈み方については省略します)
大きな川でのシンキングラインは流れで根がかり(川底に引っかかってしまうこと)しやすいので、先端だけが沈むシンクティップを使う人が多いようです。シンクティップにも先端の沈む速さによって何種類かあります。
またあまり一般的ではありませんが、シンクベリーという先端から中央部まで沈むラインもあり、大きな川などでスペイキャストという方法で使うことがあります。




表記のしかた

これまで説明したライン番手、形状、種類は次のように表記され、パッケージなどに記載されています。


 DT-3F  (ダブルテーパー、#3、フローティング)
 WF-5F  (ウエイトフォワード、#5、 フローティング)
 WF-7SⅡ (ウェイトフォワード、#7、シンキング・タイプⅡ)
 WF-6F/SⅠ (ウェイトフォワード、#6、シンクティップ・タイプⅠ)
 ST-9SⅢ (シューティングヘッド、#9、シンキング・タイプⅢ)

実際はこれにメーカーごとにコーティング素材やテーパーの変化で何種類ものモデルを設定してます。先端部に重さを集中させているもの、全体的に硬いもの、柔らかいもの、伸びないコアを使ったものなど、数えたらキリがありません。

バッキングライン(フライランの下巻き糸)

バッキングラインとはフライラインの下巻きに使うナイロンやダクロンなどの糸のことで、フライラインの長さ以上に走る大きな魚とやりとりするときや、フライラインに巻き癖がつきにくくするために巻きます。養沢程度の川では巻かなくても問題はありませんが、ダブルテーパーのフライラインはひっくり返して使うことができるので巻き癖防止のためにも巻いておいたほうが良いでしょう。専用のものが販売されています。



左)WF-5Fに繋がれた30lb(ポンド※)のバッキングライン(オレンジの糸)。このリールには約30yard(ヤード)巻いてあります。こんな感じにリールのスプールに下巻きすることでスプールの芯が太くなり、フライラインの巻き癖が付きにくくなります。


※lb(ポンド):正式にはポンドテストと言い、1ポンドの重さのものを吊り下げられる引っぱり強度です。1ポンドは約453.6g 16オンスで1ポンドになります。
※1ヤード:約91.4cm 3フィートで1ヤードです。





フライリールにはフライラインの番手のほかにバッキングラインの巻ける量が記載されています。
 例えば DT-3F+バッキングライン20lb(ポンド)30yd(ヤード)

DT-3F+30yd(ヤード) などです。
これはDT-3Fのフライラインのほかに20ポンド(約9kg)のバッキングラインが30ヤード(約27m)巻けるということです。ただしフライラインはメーカーやモデルによって多少太さや長さが違うので一応の目安だと考えてください。

フライラインは黄色やオレンジ、黄緑など派手な色彩のものが多く見られます。見やすいのでフライの位置を確認するにも流れの様子を確認するにも都合が良いのですが、魚からも警戒されるのでは・・という疑問が沸いてくるでしょう。フライフィッシングスクールでも同様の質問をたくさんいただきました。
実際はどうなのか・・ここでちょっとフライフィッシング的な頭になって考えてみます。

自分が魚になったことを想像してください・・・
頭上には明るい空が広がっています。そこに明るい色のフライラインが浮いていたとすると、明るい空と自分の間にあるフライラインはどう見えるでしょうか? 明るい空がバックライトのようになって、思ったより目立たなくなっていませんか。
分かりにくかったら、実際に照明などに暗い色と明るい色の紐をかざしてみるとよく分かります。

ではフライラインが沈んでいたらどうなるでしょう。照明にかざした紐を目線より下げてみると、今度は明るい色の方が目立つようになります。水底では茶色や緑の暗い色が背景になるのでよけいに目立つはずです。
この考え方は後に出てくるフライの選択でも重要になりますので、イメージしておいてください。

手入れ

フローティングライン(特に定番手の#3や#4)は、一日中使っていると先端が沈みやすくなり、滑りも悪くなります。手入れをすることで浮力もすべりも回復するので、釣行毎にメンテナンスすることをお勧めします。
いろいろなメーカーで販売されている専用のラインコンディショナーを使えば簡単です。



右の容器が市販されているラインコンディショナーです。
フローティングラインは使い続けていると先端が沈みやすくなり、細かい砂や泥をつけたままにしておくとロッドのガイドを削ってしまいます。
面倒がらずに釣行毎にクリーニングする習慣をつけると、ラインもロッドも長持ちさせることができます。








こんな感じにラインコンディショナーをティッシュペーパーなどに垂らし、薄く塗りつけていきます。
泥などの汚れがひどい場合は水拭きした後にやると良いでしょう。
塗りすぎるとべたつくのでほどほどに。








養沢で使いやすいライン

ずばりDT−3FかDT−4Fをお勧めします。(もちろんロッドと合わせます)
色はお好みでかまいません。馴れるまでフライの位置やラインの軌跡を確認するためにも黄色やオレンジ、黄緑などの明るいカラーが良いでしょう。いくつものメーカーが販売していて、価格帯は3千円くらいから1万円くらいまであります。
バリバス、コートランド、サイエンティフィック・アングラー、エアフロ、キャップス、コータック、アキスコ、リオなどのブランドがあり、どれが使いやすいか人それぞれなので財布と相談してお決めください。

DT(ダブルテーパー)は両端にテーパーがついているので最初から半分に切って使うことができます。友人と分ければ半分の予算で済んでしまいます。ただし、全長が20mほどしかない短いラインの場合は半分では短かすぎるので、25m以上のラインのほうが無難です。くれぐれもWF(ウェイとフォワードライン)を切ってしまわないように!