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フライロッド

フライフィッシングで使われるフライロッドは、素材や使う場所、ラインの重さ(ライン番手)によっ様々なタイプがあります。求められる大きな機能として、フライを魚がいるところまで運ぶフライキャスティングがしやすいこと、魚とのやり取りがしやすいことが上げられます。この二つは素材、長さ、ライン番手(フライラインの重さ)、ロッドアクションなどから決まり、万人向けのものからマニアックなものまであります。
フライロッドをどう感じるかは使う人の基準、感覚によって大きく異なるので、売る側の話や他人の言うことばかり聞いていては何本購入しても満足が得られないかもれしれません。まず1本を使い慣れてそれを自分の基準にすると、より長いものとか、より硬いものなど自分の求めているものが見えてきます。

素材

カーボン(グラファイトとも言う)、グラスファイバー、バンブー(竹)などがあり、それぞれ特徴を持っています。


上)カーボン(グラファイト)ロッドは軽く反発力に優れ、現在フライロッドの主流になっています。全体的に細身で、一般的にカーボンロッドとかグラファイトロッドなどと呼ばれます。グラスファイバーやボロンなどとのコンポジット素材のものもあります。

中)グラスファイバーロッドはカーボンロッドより歴史が古く、ゆったりとしたしなやかさが特徴です。長いものはやや重くなりがちなので現在は短めのものが主流です。

下)バンブーロッドは工芸的な美しさのものが多く、その雰囲気から多くのファンがいます。三角形に削った竹を6枚(6角形)貼り合わせてあるのでスプリットケーン、スプリットバンブーなどとも呼ばれます。(4角形や5角形のものもあります。)
自然素材なので保管に気を使うこと、やや重くなりがちなこと、高価なことなど欠点もあります。

形、長さ

フライロッドは大きく分けて片手でキャスティングをするシングルハンド・ロッドと両手で行うダブルハンドロッドがあります。
日本のフィールドの多くはシングルハンドロッドだけで十分ですが、大きな川や海などで大型魚とのやり取りにはダブルハンドロッドが威力を発揮することもあります。
ロッドの長さはフィートとインチで表示されます。小さな川で使う6フィートくらいのものから、大川や海などで使う17フィートくらいのものまであります。使用するロッドの長さは使うフィールドとフライラインの番手で決めます。養沢程度の小さな渓流で7フィートから8フィート、大きな川や湖、海などで8フィートから10フィート、それ以上のものはダブルハンドロッドというのが一般的です。
※1フィートは約30cm、1インチは約2.5cm、12インチで1フィート


当釣り場の実践スクールで実際に使用しているロッド。カーボン製、8フィート、ラインの指定は#3〜#4。養沢でちょうど良い長さとアクション。





上)両手でキャスティングを行うダブルハンド用ロッド。両手用ロッドの総称としてダブルハンドと言いますが、細分化するとスペイキャティング用やシューティング用などといくつかに分かれます。これはスペイキャスティング用の13フィート#8〜#9。
養沢ではダブルハンドロッドは使用できませんので詳細は省きます。

中)海などの大物用のシングルハンドロッド。キャスティングは片手で行います。大物とリールでやり取りしやすいようにグリップエンドにファイティングバット、前方にはフォワードグリップがついています。海用(SALT用)10フィート#9~10。

下)遠投用シングルハンドロッド。反発力に優れたボロンとグラファイトのコンポジット素材を使用しています。湖の大物用で9フィート#8

仕舞い寸法(畳んだときの長さ)

実際に釣り場で釣りをする前にロッドを釣り場まで持って行かなくてはならないので、公共交通機関を利用する場合など、運びしやすさ、つまりロッドが何本に分割できるかということも重要になります。
市販されているものは2本継ぎ(2ピース)が多いので、単純に8フィート(約2m40cm)の2本継ぎのロッドを分割すると4フィート(継ぎの部分を入れて1m25cmくらい)の長さになります。最近は3ピースのものも増えているようですし、持ち運びを重視した4ピース、6ピース・・10ピースというものもあります。
継数が多いものをパックロッドとかマルチピースロッドと呼びます。一昔前まで継数が多いとアクションが悪いなどと嫌う人がいましたが、最近はそういう話は聞かれなくなりました。実際に継ぎ数が多くて釣りに支障が出た経験はありませんので、3ピースでも4ピースでも個人の好みで選んで問題ないでしょう。



左)
小型乗用車に載せるのに好都合な8フィート、3ピースロッド。
アルミケースに入れても全長で90cm以下なので、電車やバスで移動する際も「傘」をもっていると思えばたいした荷物にならない。






左)
持ち運びのしやすさ最優先の7フィート6インチ、8ピースロッド。アルミケースに入れても30cmちょっとの長さなので、デイパックやダッフルバッグにすっぽり収まります。旅行のついでにちょっと・・などというときに非常に便利です。もちろん普段のメインロッドとしても十分に使えます。

継ぎ数が多いことの欠点は、パーツ一つ一つが短くなるので紛失しやすいこと、継ぐ順番を間違えてフェルール(継ぎ部分)を破損しやすいこと、他の人より準備時間が長くなることなどです。



フライラインの番手(重さ)との関係

フライラインにはAFFTA規格という、ほぼ世界共通の基準があり、ラインの先端9mの重さで1番(#1)から15番(#15)くらいまであります。
フライフィッシングではフライロッドとフライラインが組み合わされて初めて機能します。釣り方や好みで変わるので一概には言いにくいですが、小さな渓流で#3~#4、大きな川で#5~#6、湖で#5~#8、海で#7以上というのが大雑把な目安でしょうか。
フライラインの番手が#7や#8など大きくなるとライン自体が重いので、合わせるフライロッドは硬いものになります。逆に#3や#4など軽いフライライン用は柔らかいフライロッドということができます。
フライラインの番手とフライロッドの番手を合わせることが基本になります。(特殊なケースはあります)
最初に申し上げましたが、フライロッドにはフライキャスティングのほかに、もうひとつの機能として魚とのやり取りのしやすさが求められます。フライキャスティングだけを考えれば#3で十分でも、大型魚とのやり取りを前提にしてやや硬い#5用の組み合わせを使うこともあります。


左はロッドに書かれた長さとライン番手の情報です。
メーカーやモデルごとに表記方法が違うので分かりにくいですが、長さはフィート(’)とインチ(”)、ライン番手は(#)や(wt.)、(№)と表記されるのが一般的です。

上) 8フィート#4ロッド。上に書かれているIM6とはカーボングラファイトの素材ですが、このメーカーではモデル名に使っています。

下) 9フィート#9ロッド。ロッドの重さがOZ.(オンス)で書かれています。1オンスは約28.35g、16オンスで1ポンドになります。

ロッドアクション

フライロッドはメーカーやモデルによって、同じライン番手に合わせたものでも硬さや曲がり方に違いがあります。硬さや曲がり方はラインの番手のように共通の規格がなく、数値で表されているわけでもないので、かなり感覚的なものだと思ってください。同じライン番手のロッドでも使う人の感覚次第で柔らかくも硬くも感じます。
大雑把ですが、曲がり方の違いはイラストのようになります。同じ力をかけたとき先端だけが曲がるものをティップアクション、真ん中あたりから曲がるものをミドルアクション、根元から曲がるものをバットアクションと呼びます。他に最近はパラボリックアクションという表現が多く見られますが、パラボリックアクションはロッドにかかる負荷によって曲がる場所が移動するもので、軽い負荷のときはティップ部(先端)だけが曲がり、負荷が大きくなるにつれミドル部からバット部に徐々にスムースに曲がるというものです。とはいえこの表現も使う人によって感じ方は変わります。
また、ロッドの反発スピードによって早いものをファストアクション、ゆっくり反発するものをスローアクションと呼びます。実際は曲がる部位と反発スピードは関連性がありますので、ティップアクションは先端部がピンピン曲がるのでファストアクション、バットアクションは根元からブワーンと曲がるのでスローアクションなどと曲がる部位と掛け合わせて表現されることもあります。

一般的にティップアクションのロッドは近距離のキャストがしにくく、逆にバットアクションはロングキャストが苦手と言われますが、素材の弾性の違い、ロッドの肉厚、テーパーデザイン(元径と先端径までの太さの変化)などによって必ずしもそうとは言い切れないのが複雑なところです。

フライラインのとロッドアクションの関係

フライロッドのアクションはフライラインの番手と相関性があります。重いライン(大きな負荷)に耐えるためのロッドは硬く、小さな負荷でも曲がるものは柔らかいロッドということになります。同じ番手のラインでも長くなると重さが増すので、10mのラインをロッドに乗せたときと20mのラインのときではロッドにかかる負荷は大きく変わります。

同じライン番手が指定されたロッドでもメーカーやモデルによって硬さに差があります。たとえば同じ#4が指定されたロッドでも日本の小渓流で常に3m~7m程度キャストすることを前提に設計されたものと、アメリカなどの大川で常に15m以上キャストすることを前提にしたものではライン番手にすると2番手くらい差があることもあります。
一概には言えませんが、養沢のようにキャストの距離が短い場合、アメリカやヨーロッパのロッドは指定ライン番手より1番手上のほうが使い勝手がいい場合が多いようです。(#3指定のロッドに#4ラインを組み合わせるなど)
また、ロッドの中には#3~#4というようにライン番手に幅を持たせているものもあります。この場合近距離中心なら#4、遠投を多発する場合は#3と理解してください。(ラインそのものは#4のほうが重いので遠投には有利ですが、ロッドにかかる負荷は逆です)

養沢で使いやすいフライロッド(長さとライン番手・ロッドアクション)

養沢のような小さな渓流では、素材がカーボン製で、長さ 7’6”(7フィート6インチ=約2m29cm)から8’0”(8フィート0インチ=約2m40cm)くらいで、指定ライン番手が#3または#4をお勧めします。継ぎ数は2本でも3本でも4本でもかまいません。
フライロッドは同じライン指定でもアクションに差があるので、フライショップで購入されるときは養沢のような小さな川で、近~中距離を使うことをはっきり言って選んでもらうのが良いでしょう。
1本のロッドで小さな川から湖まで賄うことも可能ですが、それなりの技術が必要です。上達を望むのなら、湖や大川用は別のものを購入するつもりで養沢に適したロッドを購入されることをお勧めします。

2007年まで開催していたフライフィッシング・スクールでスタッフがデモンストレーションなどに使用していたロッドは次の2点です。どれも最初の1本として自分の基準にするのにちょうどいいアクションだと思います。

●アーティスト・ロングリフター8034(8フィート#3~#4 2ピース)お問い合わせはマッキーズLinkIcon(別ウインドウで開きます)
癖がなく誰でも使いやすいアクションが特徴です。#4のフライラインを組み合わせるとフライフィッシングを始めたばかりの人がキャスティングの感覚をつかむにも最適です。#3ラインを使うと軽快でシャープに使うこともできます。(大きい魚とのやりとりも、ある程度のロングキャストにも対応できます)

●同じくアーティスト・スムース(7フィート10インチ#3 3ピース)
ロングリフターより若干柔らかく、繊細な魚を狙うのに向いています。ロングキャストは苦手ですが、近距離のコントロールは素晴らしく、高い次元でバランスが取れているのでベテランやエキスパートからも支持されています。・・



ロッドのグリップはロッドの使いやすさに大きく影響します。太すぎると力を入れて握らなければロッドが保持しにくいのでスムースなキャスティングができません。
左の写真は養沢で使いやすい#3~#4のロッドで、一番上がアメリカ製、下の3本が日本製です。手の小さな日本人には下から2本目くらいがちょうど良いのではないでしょうか。
グリップが太いと感じたらサンドペーパー(紙やすり)で削ることができます。少し時間がかかりますが、自分に合わせたロッドに改造するのも楽しみのひとつです。

購入する際はこんなことに注意

フライロッドは種類が多くどれを買っていいか迷うところです。スクールに参加した方の中には、近くのショップで勧められて購入したものの、使いにくいロッドに四苦八苦・・ということが少なくありませんでした。フライロッドは決して安いものではないので購入の際はこんなことにご注意ください。

・高価な外国製ロッドの中には長いラインを扱う設計になっているものが多く、養沢のようにキャスト距離が短いところでは使いにくいものがあります。キャスト距離重視のロッドは避けたほうが無難です。
・日本製ロッドの中には、使い方をある狭い範囲に絞り込んだものがあります。ロッドグリップをしっかり握って強く上下に振ってみて、真ん中より手前(グリップ寄り)が曲がるものは避けた方が良いかもしれません。こういうバットアクションのロッドは釣り人の意志に反して勝手に曲がりすぎるものが少なくありません。
・7フィート以下の短いロッド、8フィート6インチ以上の長いロッドは避けたほうが無難です。短いロッドは反発スピードが速くキャスティングのタイミングが取りにくいのでロッドを振り回しがちになり、長いロッドは狭い渓流では邪魔になります。
・グラスファイバーやバンブー(竹)のロッドは、キャスティングがある程度できてから購入したほうがその良さが分かります。
・養沢では、ライン番手が#4~#5では少し硬すぎます。#3を中心に#2~#3、#3、#3~#4、の範囲で選ぶことをお勧めします。(#4指定のロッドには養沢では硬すぎるものもあります)