ウェーダー(釣り用長靴)とウェーディングシューズ

ウェーダーはベストとともにフライフィッシングのスタイルを象徴するもののひとつです。
渓流では水に深く入ることは稀なので、養沢のような足場のよい釣場ではなくても困ることはありませんが、水辺で魚を取り込んだり、跪いたりすることを考えればあったほうが断然便利です。
様々なスタイルのものが販売されているので用途に合ったものを選んでください。

ウェーダーのタイプ

ウェーダーは、長さ、形、素材などでいろいろなタイプに分けられます。
それぞれのタイプに特徴があるので、使用するフィールドや季節などによって使いやすいものを選びましょう。
 

長さによるタイプ

【ウェストハイ】


長さはウェストまでで、ちょうどパンツ(ズボン)を穿いたような感じです。
ウェストをベルトなどで留めるのが一般的ですが、動いているうちにずり落ちやすいのでサスペンダーを装着することもあります。
歩きやすく屈むときもさほどストレスを感じないので、養沢程度の渓流では一番使いやすいと思います。

【チェストハイ】


胸までの長さがあるタイプです。専用のサスペンダーでオーバーオールのように着用し、水中で転倒したときに水が入らないようにウェストをベルトで締めます。
しゃがむときなどやや動きにくい欠点がありますが、胸までの深さは湖でウェーディングする際も有利です。歩いてもずり落ちにくいので渓流でも愛用する人がたくさんいます。

【ヒップブーツ】


トラディショナルな股下までのブーツ(長靴)です。以前はゴム製のものしかありませんでしたが最近は軽量のナイロンや透湿素材で作られたものがあり、動きやく、水に入る必要がないときなど折り畳むことができるので、渓流で使用するメリットはたくさんあります。
欠点は、しゃがんだときに靴底でパンツ(ズボン)のお尻を汚してしまうことです。

【ニーブーツ】


膝までのブーツ(長靴)です。簡単に着用できるので便利な反面、このタイプのほとんどがゴム底のため水底のコケで滑りやすく、水に入る時は注意が必要です。養沢では濡れた石の上なども滑りやすいので、砂利の上など足場の良いところに限って使用した方が無難でしょう。
やや高価ですが、外国製のおしゃれなデザインのものもたくさんあります。

長さによるタイプ

【ストッキングタイプ】


写真のように袋状になったウェーダーの上から専用のウェーディングシューズを履くタイプです。
シューズと足がフィットするので歩きやすく、渓流では最もポピュラーなスタイルです。ウェーダーとシューズを購入するのでやや高価になりますが、本格的にフライフィッシングをするにはこのスタイルをお勧めします。
写真のものは靴内に小石が入らないようにウェーダーが部分的に靴に被さるようになっています。

【ブーツタイプ】


ブーツ(長靴)と一体になったタイプです。穿いたり脱いだりが楽にできるのでちょっとした釣りに便利な反面、ブーツ部分と足がフィットしにくいので渓流を歩くにはあまり向いていません。またブーツと足の間の空気が浮力を生むので、速い流れを渉る時は注意が必要です。
湖に立ちこむときはこの浮力が体の負担を減らしてくれるのでブーツタイプが好まれるようです。

●素材の違い

【透湿素材】


ゴアテックスやエントラントなどの透湿素材は水を通さず蒸れにくいので、近年ウェーダーの主要素材になっています。外側はナイロン素材のものと見分けにくいですが、内側はベタつかないようにメッシュ状になっているものが多いようです。欠点はやや高価なこととピンホールが開きやすいことでしょうか。


【ナイロン】


ゴムに変わって登場したナイロンは軽く丈夫で10数年前までウェーダーの主力になっていました。まったく水を通さない反面、空気も通さないので蒸れやすく、気温が上がる時期や動き回る釣りでは、とても穿いていられるものではありません。
安価ですが、早春など限られた時季の短時間だけ・・と割り切ったほうが良いでしょう。


【クロロプレン】


ネオプレンなどとも呼ばれる保温性が高いゴム素材を使用したタイプです。クロロプレンは素材自体が厚く動きにくいので渓流で使用されることはあまりありません。素材自体に浮力もあるので、流水では水の抵抗が少ないストッキングタイプで体にフィットしたもの、湖のウェーディングではブーツ付きが主流です。

●忘れてはいけない大事なこと

【滑らない靴底】


ウェーディングシューズやブーツの靴底は川底のコケで滑らないように、ほとんどのものにフェルトが貼ってあります。(最近は滑りにくい特殊ゴム製のものもあります)
フェルトは磨耗が早いので(特にアスファルトの上を歩くと)靴底が見える前に貼り替える必要があります。自分でやると案外大変なので、最初から貼り替えやすくなっているものを選ぶか、貼り替えを依頼できるショップで購入することも視野にいれてください。
フェルト内にスパイク(金属の鋲)が打ってあるものもありますが、平滑な石の上ではかえって滑ることがあるので最初の一足にはお勧めできません。
ウェーディングシューズはサイズにややばらつきがあるので、購入の際はウェーダーをはいた上で試着することをお勧めします。多少の緩さなら何とかなっても、きついシューズは地獄です。

・・・というわけで、養沢にはこんなウェーダーをお勧めします。

【ウェストハイかチェストハイ】
右の写真のような状況も考えられるので、ウェストハイかチェストハイをお勧めします。動きやすさでウェストハイ、ずれにくさではチェストハイです。


【ストッキングタイプ+ウェーディングシューズ】
渓流ではストッキングタイプ+ウェーディングシューズがベストです。ブーツ付きはブーツ部分とウェーダー部分の両方がちょうどいいサイズというのがなかなかないので、どうしてもぶかぶかになりがちです。渓流ではあまり格好いいものではありません。


【透湿素材】
多少高価でもゴアテックスやエントラントなどの透湿素材のものをお勧めします。透湿でないものは気温が低いときでも汗で体を冷やし、暖かい季節には蒸れてサウナ状態になります。すでにお持ちでしたら短時間のワンポイントとお考えください。

●補足

●ウェーダーを穿いたからといって、むやみに水に入るのはNG!

【なるべく水に入らないのが基本】
ウェーダーを穿くとつい水に入りたくなりますが、小さな渓流ではなるべく水に入らず水辺から離れて釣るのが基本です。
魚は餌が捕りやすい岸際にいることが多いので、不用意に水に入ってしまうと近くの魚が驚き、驚いた魚にさらにほかの魚が驚いて結局ポイントすべての魚を蹴散らすことになってしまいます。


右の写真のようにどうしても水に入らないと遡上できない場所では、岸際をなるべく静かに移動し、しばらくじっとして魚を落ち着かせてから釣るのが良いでしょう。


養沢のように釣り人が過密な管理釣り場では、自分の後から釣り人が来ることも考えておかなくてはなりません。場を荒らさずに釣るのはそれなりの技術が必要ですが、それも管理釣り場で釣る大事なテクニックです。

●ウェーダーを着用したら注意していただきたいこと

ウェーダーは便利なものですが、着用の仕方を間違えると危険なものにもなります。次の点に注意して安全に使用してください。
○ウェストハイ、チェストハイは、水の中での転倒などでウェーダー内に水が入ると重くて立ち上がれなくなります。転倒しても水が入らないように必ずウェストのベルトをきちんと締めてください。
○ヒップブーツはウェストハイ、チェストハイより水が入りやすいので深みに入るのはやめましょう。特にラバー製のものは水が入りやすく、水が入ると足元を掬われてしまいます。
○ニーブーツは靴底がゴム製のものがほとんどです。ゴム底は水底を歩くようにできていないので水底のコケや濡れた石でとても滑ります。浅い水深でも水際を歩く際は特に注意してください。

●季節によってはこんなスタイルも。

いくら透湿素材のウェーダーでも真夏は暑くて大変です。また源流域の大岩をよじ登ったりするときなど動きにくくて不安になります。そんなとき便利なのがこのスタイルです。

【ウェーディングシューズ+スパッツ】
速乾性のパンツの上に、クロロプレン製のスパッツ(ゲーターなどとも呼ばれる)を装着して、ウェーディングシューズを履くスタイルです。
動きやすく、夏でも暑さを感じることが少ないので、長く歩く時や源流域を遡上するときなどに便利です。
弾力性のあるスパッツは万が一転倒したときにクッション代わりになり、蛇や尖った枝などからも脚を守ってくれるので藪を歩いてから入渓するときにも安心です。


スパッツは靴上だけのもの、膝下のもの、写真のように膝上までのものなど何種類か長さがあるので自分が通うフィールドに合わせて選ぶことができます。ソックスとつながったタイプもあります。
養沢では靴上だけの短いものでも大丈夫ですが、草の中を歩くようでしたら安全のためにも膝下くらいの長さはあったほうが良いでしょう。